そのため、顔を上げて真っ直ぐ見つめれば当然のように母さんと目があった。 「…―蘭。」 「…―っ、はい。」 母さんに名前を呼ばれただけで体が跳ねる。 低く、透き通った声。 本当の母さんはこんな人なんだと思った。 いつもは親父ラブなお茶目な母さん。 でも、目の前に居る母さんはその目で見られるだけで人を震えさせる“桜鬼 オウキ”と言われた伝説の人。 こっちが本物の母さん。 これが黒桜会の初代。 黒瀬 桜。 鬼の血をひいていると言われた人―…