それから私は急ぐ京花に引っ張られながら車に乗り込んだ。 その車の運転席には恭平が居て少し驚いた。 そんな私を見た恭平は 「俺は蘭が家を出て直ぐ桜さんから電話が来て知った。」 と言った。 その顔はもう覚悟を決めた顔で、あぁまだ迷っているのは自分だけだと思った。 恭平の運転で車が動きだす。 向かうのはきっと隠れ家―…黒桜会の邸だ。 車の中で会話はなくて私は外を見つめていた。 その景色はどんどん懐かしいものに変わる。 私はただその景色を頭に焼き付けていた。