でも………

大沢の部屋での、あのひと時は、佳菜子にとって、精一杯の気持ちを表した…返事のつもりだった。


意識しすぎとも思えるが、
前日の大沢の様子から、
恋愛に不慣れな佳菜子なりに、
彼女として、一番ふさわしい応え方を考え…

覚悟を決めて踏み込んだあの日。


二人の新しい未来のはじまりと、“何かが変わっていく”そんな予感がしていた佳菜子。


まさかそれが、
二人を終止符へと導いたとは、
もちろん考えたくなどなかった。


そんな男の話は聞くが、

“大沢にかぎって…”そして、
“私にかぎって…”と、

そんな想いだけが、
佳菜子の心を支えていた。


そして、ただひたすらに、大沢からの連絡を待ち続け…

月日は流れていくのだった。