空の記憶

「…ロゼ様。」


彼女の名前は、ロゼ・セレディーナ。


ここ天空の大地、グラディアンで、最も権力を持つセレディーナ家の姫君だ。


「ロゼ様、今日は大変日差しが強いです。
すぐに城にお戻り下さい。」


「いやよ、ラグも一緒に来てくれなきゃ。
中でまた話を聞かせてよ。」


ラグというのは、俺の名前だ。


ラグレス・フィンダート。


俺はもう14年近く、ロゼ様に仕えている。



今でもはっきり覚えてる。


俺が初めてロゼ様と出会った、あの日のことを。