「確か住之江荘だっけな…」
10分程歩いて発見した。
「わー…」
さっきのボロ団地に更に地震が起きた後のような、二階建てのアパートだ。
部屋は合わせて10部屋あるようだ。
こんなとこに、本当に人って住んでるもんなんだな…てのは言い過ぎか。
だがそれぐらい年季も入っていて、いつ倒れてもおかしくないだろう。
二階だっけな。
「うぉっ」
階段の軋みがすごい。
こんなに階段を恐いと思ったことはない。
内田………
「ここか」
203号室だ。
呼び鈴を押すが鳴らない。
電池が切れてるのか。
「ったく…」
戸を軽く叩く。
「内田さーん?」
返事がない。
ドアノブを回してみるが、鍵がかかっている。
再び戸を叩く。
さっきより強めに。
「留守か…?」
それか居留守…
「…ふ〜…」
一度廊下の手すりに背中を預けたが、このアパートのボロさを思い出しすぐさま体勢を戻した。
手すりが壊れてこっから頭から落ちて死ぬ…
容易に想像出来てしまってぞっとした。
スーツの内ポケットに入れてあるタバコを取り出し一服しようとしたその時、目の前の戸の鍵が開く音が聞こえた。
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