「うっ…本当に亜耶はいつもいつも痛い所を突いてくるね」

これもいつもの事なのか、「あはは」と笑い出す始末。


そんな愁が

「女連れ込んでた事を怒ってる?」

と問い掛けました。



「……ち…違う」

小さな声でゆっくり答える亜耶。


「そうか」

亜耶の髪をゆっくりと撫でながら、どんなに小さな声も聞き逃さない様に、慎重に耳を傾けました。



「あ…のね…?別に女を連れ込んだりしてるのは、構わないの。気にしてない」

未だ愁背を向ける亜耶は、決して強がりで言った訳ではありません。


「……どうにもならない事くらい十分に分かってるの。頭では分かってるんだけど…。さっきまであのベッドに女が居たんだと思うと、どうしてもベッドに行きたくないの。私って、我儘(わがまま)だね」

自嘲的に笑った亜耶の声は、震えていました。