桃ずきんちゃん 《ヤンキー王子×イジワル女王様》

 


女の手が外れ、その隙に愁は立っている亜耶へと近付きました。


「…亜耶?どうした?」


俯(うつむ)いた亜耶の顔を覗き込んだ途端、愁は目を大きく見開きました。




亜耶の大きな瞳からは、ポロポロと涙の雫(しずく)が零(こぼ)れているのです。



「…亜耶?」

「………」


しっかりと両目を開け、愁を見据える亜耶。




「……ごめんな」


「…………」



愁が声を掛けても無言のまま。