「あっれー。学さん、まだ寝てんすか!? 智信さんは、いつも難しそうなもん読んでんすねー!?」
賑やかな教室に負けないくらいの翔平の大きな声。
子供のような無邪気な笑顔を浮かべ、無愛想な彼等に向けてる。
それに、彼等と翔平じゃあ、テンション…温度差がまったくもって違う。
朝の挨拶から始まって、授業の合間合間―――それから、帰る時まで彼等に付きまとう日々。
ある意味、ストーカー行為だね。
彼等もうんざりしてるんだろうな。
毎日毎日あんなに付きまとわれたら、誰だってうんざりする、普通。
でも、彼等は何もその事に関して、翔平に何も言わない。
っというより、無視に近いのか…。
ん~でも…あの人はそうでもないようだけど―――。
「お前も読んでみるか?」
「いやっ俺はいいっすよ~。そんなに漢字が並んだの見たら、1秒で寝ちゃうんで」
まぁ、たしかにあんたはそういう奴。
読書のどの字なんて、翔平の中にあるのか。
智信さんとやらは口数は少ないけれど、翔平の相手を何気にしてくれてる。
もう1人はというと、まったくもって翔平というよりも、誰とも口を利かない。
人と関わりたくないオーラが放たれすぎて、丸分かり。
「あれ!? 学さん起きました? おはよーっす」
「………」
突然、ムクッと不機嫌そうな顔を上げたかと思えば、いきなり立ち上がった奴に、翔平はそんなの気にする様子もなく、うるさいぐらいの能天気な声で投げ掛けた。



