幸福論

この清浦という生徒は、クラスの中でも明るい部類で、友達も多い。

「部活もやってない、習い事もしてない、中学からの友達も少ない。
 なのに、あの交友関係は異常ですよ。」

と、職員室で誰かが言っていた。

「勉強を頑張ってるわけでもないし、学校に貢献してるわけでもない。
 でもなんか可愛いんですよね。」

と言っていた人もいた。

そう、清浦は教師にも生徒にも人気がある。
理由は簡単。愛想がいいからだ。

なのに。
なぜか俺にはぶっきらぼうなのだ。

授業で板書を当てた時も。
テストを返す時も。
ただ、静かな瞳で俺を見つめる。
決して笑わない。
微笑まない。
しかし、怒っているわけでもない。
多分、嫌っているわけでもない。

ただ、読めない瞳で俺を見つめるのだ。

だから、俺は清浦が苦手だ。