桜の蕾も膨らみ、春はもうそこまで来ていた。 いつだって春は、あまり好きになれない。 「いよいよ卒業だ。クラス全員が無事に卒業式を迎えられて嬉しいよ」 先生の声は、いつもより微かに震えていた。 「先生泣くの早いよ」 クラスの皆は先生のことを笑っているけど、皆だって目にうっすらと涙を浮かべている。 だって、このクラスは最高だったから。 今日で、最後だから……。