噂の彼の甘い罠†アイドルと秘密の同棲

腕で、手の甲で

必死に涙を拭う。








…嫌だよ。

晴弥ぁ。







行かないで欲しい…。









歌い終えると、晴弥は笑って私の前まで、ゆっくりと歩いてくる。





「ごめんねっ…泣かないから」

涙を止めようと、天井を仰ぐ。





でも仰いでも、私より遥かに背の高い晴弥には、全く効果なし。

余計に顔を見せる形になってしまった。








「オレ、またイジワルしたっけ?」

晴弥は優しい笑顔で、私の頬を軽くつまむ。







「…してないっ!これは…違うの。嬉し涙っ。はぁ~、いなくなってせいせいするんだからっ」

「マジかよー」

晴弥は、笑って私の頬を両手で挟み、ぺちぺちと軽くたたく。





こんな近くで、優しい笑顔で触らないでぇ。

抱きつきたくなっちゃうよぉ。