「納得した?」



桐谷さんが聞く。



「まぁ…こういう事ならわかりますけど…」


「けど?何」


「何故にバイトの私まで行かなければならないのかと。」



私はバイトだ。
助手じゃない。
助手は向井さんだ。



「人手不足なんだ。」


「知るか」


「所長命令だ。」


「社長命令みたいに言わないで。とにかく、私はイヤ」



せっかくの夏休みが……
確かに少しはバイトするつもりだったけどさ…



なんでこの人達と過ごさなアカンのや。



「行き先、軽井沢だって」



ーぴく



「空気もうまいし、かなりぃい別荘だし?」



……………。



「旅費だって向こうが払うらしいし?」



途中から向井さんまで入ってきた。



「なかなかイイ条件だと思わないか?」



…………。



「そうか、無理か。死人が出ても知らん顔か。ヒドいなぁ、そーかそーか、無理か」


「行くわよ!行きゃいんでしょ!?」



言ってからハッとした。




…しまった!



「明後日、迎えに行くよ。」



そう言って、不敵に微笑んだ所長だった……。