「真昼!」


グラウンドを見ると京也が手を振っていた。


「帰るのか?待っててよ、後三十分で終わるんだ」


京也はラグビー部のユニフォームの袖で汗を拭った。


「ごめん、バイトだから早く帰らなきゃ」


「そうか」


「これ、使って」


私はバッグからハンカチを取り出し、フェンスの間から捻じ込んだ。


京也は微笑み、気を付けてな、と言った。