「有本く…」


外に押し出されたら何かとぶつかった。


年配の女性だった。


「すみません…」


「いいえ、大丈夫よ。あぁ、良かった進ちゃん。下のドア、入る人がいたから一緒に入っちゃった」


女性は有本君を見て満面の笑みを浮かべた。


「先生…」


有本君がそう言って、私の腕を放した。


腕には赤く跡が残っていた。