それから、幾年がすぎ。
りくは立派な青年になった。
はぁ、はぁ……
とある森の中。
りくは逃げていた。
(くそ、血を流しすぎた……)
脇腹は血で真っ赤に染まっていた。
「追えー!!必ず捕らえろー!」
後ろからは、大勢の追っ手が来ている。
はぁ、はぁ
ざっ、ざっ
息づかいと足音が静かな森の中に響いた。
ざっ、ざっ……
ズサー………
「!!?」
りくの視界が一気に低くなった。
「消えたぞ!」
「くっそ!!」
上から声が聞こえた。
どんっと言う、強い衝撃がきたと同時に自分が、崖から落ちたと分かった。
「うっ……!」
全身に痛みがくる。
りくは、そこで意識を手放した。