町の中心部から少し外れたところに、マキの働いているレストラン日向亭がある。

「おはよー。マキ」

裏の勝手口をのぞいて声をかける。

「おはよ。アレク。昨日は狩りにいったんでしょ?大丈夫だった?」

マキは背の低い女の子だ。可愛らしい顔立ちに、ほっそりとした手足。シンプルな綿の洋服に、綺麗な鷲をかたどったネックレス。

「今日も手伝うよ」

「でもお客さん、全然来ないよ。例の戦艦が来たから大騒ぎでそれどころじゃないみたいだね」

ため息まじりにマキは言った。

「そうだね。でも、誰かが働かなきゃ。みんな野次馬ってわけにはいかないでしょ」

「じゃあ、アレク、さっそくだけどこのエビの皮剥いてね。600匹くらいあるから」

「え?ちょっとちょっと。僕はお手伝いだって」

「だから、お手伝いはそのエビ!」

「はーい」

結局、エビの皮剥きでもらった賃金は銀貨二枚だった。これだったらウサギを捕まえたほうがお金になったのにな。