僕が港町まで戻ると、町は静かに眠っていた。

時折、強い風が吹いた。僕はそのたびに、目をつぶる。風で飛ばされてきた砂が目にはいるから。

町の中心部、商店街のある一角に僕の家がある。古びた木のドアを叩くと、おばあちゃんがでてきた。

「お帰りなさい。もう夕飯できてるよ」

「うん。これウサギ。一匹は料理に使って、もう一匹は明日市場へ売りに行くよ」

「そうかい。じゃあ、一匹はもらうね。ささ、暖炉で暖まってちょうだい」

おばあちゃんと僕はこの家で2人で生活している。他の家族は、都会に行ってしまったので、今ではこの港町に住んでいるのは僕とおばあちゃんだけだ。

ウサギを袋に詰めて、口を紐で縛る。腐るのを防ぐために、その中に防腐剤を入れる。明日も狩りにでかけるから、その準備もしなくてはいけない。

準備が終わると、僕は、なんだか疲れてしまってうとうとしてしまった。