いつもの帰り道。

また田中さん家の犬が吠えてるよ。
ったく、よく飽きないな。

足元の空き缶を思い切り蹴飛ばした。

帰って何しようかな。
一応受験生だし・・・勉強でも。

今年で15歳になる俺は、初めてのお受験シーズンに到来していた。

この夏休みも塾で精一杯なのかな・・・。
部活なんかしてねーし。
中学校生活無駄にしてる気がするなー。

そんなこと考えているうちに、家が見えてきた。
この平凡すぎてたまらない一軒家が我が家だ。

・・・ん?何だあの人。

家の前に、引越しの車が止まっていて、従業員がインターホンを押している。
今日は家に誰もいないので、誰も出る訳が無いだろう。

というか、何で引越し屋さんがうちに来ているんだ?
転勤・・・なんてありえないし。

「そこのおっさん、うちは今誰もいないぜ?」

「ああ、そうだったのか。今は君一人なんだね?」

「そうですけど?」

「・・・それは好都合だ。」