あぁ……日和の悲しむ顔なんて見たくなかったのに。 それだけじゃない、父親――彼は、婚約者の話まで出したんだ。 最低で、卑劣で、ハラワタが煮えくり返るっていうのはこういう事だね。 「散っ!」 父親のくだらないセリフで、日和は本当に去った。 追いかけるのも躊躇うくらいの素早さで二階へ駆け込む。