「もう行った頃かな」 ――そう、今日はひながこの家から旅立つ日。 あたしはずっとベッドの中に居て、ひな達が居なくなるのを待っていた。 そうっとベッドから起き上がり、軽く化粧をし、髪をハーフアップにして外へ出る。 「寒い……」 もうすぐ春が訪れる季節なのに、二月ってまだ寒いんだね。 早くあの桜並木が満開になるところが見たいよ。 「今年は……侑也とでも見ようかな」