なんで知ってるのって言いたいの?


「早退したから知ってる。あのベッドであたしを抱いたようにアイツを抱くなんて……信じらんない」


 ひなの制止を振り切って、家へと走る。


 追いかけてきてもくれないんだね……


「っはあっ、はあっ」

 

 息が切れるほど全力で走りこみ、ベッドにもたれかかる。


 飲みかけのミネラルウォーターを手にとり、一気に飲み干す。



 喉は潤っても……心の渇きは満たされない。