「俺と結婚したら、ホテルに住もう」
彼は膝をついて手を差し伸べた。
「ふふ…なんかパンプ、執事みたい」
パンプに抱きついた。
「…アホ」
忘れない。
この温もり…
――――
「ラヴ、君はどこの国出身なんだい?」
私とパンプは歩きながらお互いの事を話し合う。
「どこでしょう?」
「当てようか。オランダ?それともスイス…」
「ブー」
「おいおい…婚姻届を出すには出身地を書かないといけないんだぜ?」
「ねえ。私、あれに乗りたい」
「え?」
もう警備員に見つかってる
後ろからついてきてるもの。
私はまだ待ってとサインしたから待っていてくれてるけど
もう待ってはくれない。
…日が暮れる。
「観覧車?でももう…」
「のりたい」
「・・・分かった。待ってもらえるようにお願いしてくるよ。
そのとき君のことを教えてもらうからな!」
なんの前触れもなく離れた彼の手。
待って。
「…何?」
「っえ?」
「呼ばなかった?」
「…よんでないよ?」
「待ってろよ!」
パンプ
いかないで…
パンプ…
ごめんなさい
ごめんなさいー…
―――チリリン―――
警備員との約束
~そのネックレスの鈴がなりましたら、私どもは、姫の下へ参ります~
「ラヴ・シュテファン・フォン・アリーナ様」
愛してた
でももう、会えない
もう、あの笑顔もキスもなにもない
「…ふ…」
ただ愛してた。
いつまでも一緒にいたかった。
彼の歌をうたいたかった。
彼のあの家で
住みたかった…



