今からほんの2時間前のことを思い出す。



会いたい。

ひろに、会いたい。


その一心で俺の脚はペダルをこぎ続けた。


もう少しだ。

もう少しで、ひろに会える。


あと5分もしないうちにひろの家に着くはずだった。



目の前の信号が赤に変わりそうで。

だからギアをかえて、スピードを上げる。


点滅寸前。

俺は信号の白線を踏んでいた。


そして、そのとき。

横から白の車が来るのが見えた。



ウソ…だろ。



そう思ったときには遅かった。

俺の視界は反転して。


とっさに頭を手でかばう。



【ガシャーンッ】


自転車が倒れる。

俺も、倒れた。


手にものすごい衝撃を受けたのを覚えている。


それからほどなくして俺は意識を失った。