「健、先に言っとくけど」


「なんだよ」


露骨に不機嫌そうに眉を寄せ、眉間にシワをつくる健。

なかなか迫力のある顔、できんじゃん。



「後夜祭、俺はひろと一緒にいるから」


「…あたかも2人で、ってニュアンスだけど。

安心しろ、俺もひろちゃんの友達も一緒にいるから」


横から慎太郎がいらない情報を口にする。

仕方なく、慎太郎の頭をはたく。


…俺、実は暴力反対派なんだけどな。



「…あっそ。

好きにすればいい。


学祭と後夜祭、お前と千尋が一緒にいたところで、俺は焦りもしない」


健はクルリと俺に背中を向け、歩いて行く。

だが


「……イテッ」


傍にあった机の角に足をぶつけた。



『俺は焦りもしない』


なんてカッコイイことぬかしておきながら


かなり焦ってんじゃねーか。


この見栄っ張りめ。