夏休みが終わってから約1カ月が経っていた。
そんなある日。
「バーカ!何やってんだよ!
もう時間ないんだぞ!!」
「うっせぇー!
手が滑ったんだから仕方ねえだろー!」
床に散らばったペンを集めながら慎太郎が俺を睨む。
ったく、ただでさえ忙しいっていうのに余計なことしやがって。
でもきっと、こんなやり取りは他の教室でも行われているだろう。
なんて言ったって明日は学校祭だ。
そのために前日の今日は丸1日明日の準備に当てられた。
「なあなあ、これでいいんだっけ?」
純がダンボールを俺に見せる。
そのダンボールは宣伝用の看板に使われていた。
「なんだよ、これ!
間違えてんじゃん!
純、書き直し!!」
「はっ?!どこが?どう間違ってんの!?」
ったく、こんなことも気づかないとは。
「お前なあ、これじゃあ某有名SNSサイトだろーが!」
「あ…マジだ。
申し訳ねえっす」
あはっと笑って誤魔化す純。
純が持ってきた看板には
『喫茶MIXI』
と、書いてある。
正しくは
『喫茶MIX』
だ。
あーあ。
ダンボール1枚、ムダになっちゃった。