車は勢いをとどめる事なく近づく。静かな走行で、距離感を感じさせなかった。 車が来ているのか、いないのか。 僕は正確に分からなくなった。 しかし、僕は信号が赤になった事に気付いた。 「えり!赤信号!」 僕の声に促され、えりは信号を見た。だけど、僕を見て笑顔で言った。 「何言ってるの? まだ青だよ」 「違う! 赤だよ! 車が来て……」