今の祭にそんなことを気にする余裕はなく、来た道の方向に身体を向け地面に俯くようにして言葉を紡ぐ。


「命を……決して命を粗末にしないで……」



最後に、弱音を言うのは此処で最後にするから。

だから、最後に、

生きて、私の国を守って。

あの人との、大切な国を。


まだ姫という立場を捨てた訳ではないからこそ瑞湖の国に嫁ぐ身としてその一言に想いを全て込める。

本意を汲んでくれなくてもいい。
大切な命を、残された命を必死に生きてくれるだけでいいから。



「姫様、姫様、姫様っ……」


消えるような声でそう呟くと、じぃは涙を堪え切れずその場に蹲った。