しかし、そのとき。




篤也「もうやめて!!」




さっきまで
牧野にしがみついていた篤也が、
勢いよく松岡にとびつき
そのまま松岡を押し倒しました。

松岡はびっくりして、
振り上げた拳をゆっくりと
下ろしました。




篤也「もう、やめろ。バカ…」




篤也の声は、震えていました。




松岡「………っ。もうやめたから、泣くな。」



小嶋「あーちゃん…」




小嶋はその場に座りこみ、
顔をふせてしまいました。


牧野は遠くから
黙ってそれを見つめています。





篤也「…松岡。小嶋の言うとおりだよ。」




篤也は松岡にしがみついたまま、
震えた声で話しはじめました。




篤也「松岡には、力がある。それってすごく素敵なこと、大変なこと。力の使いようによって愛されたり、憎まれたりするからね。おれはそういう人、たくさん見てきた。」




篤也の言葉に
小嶋と牧野が首を傾げました。


小嶋と牧野は
篤也が最強吉田組の総長の孫
ということを知らないのです。

篤也が女だ、ということも…。