一応涙を拭こうと手を伸ばしたらはたかれた。

 そしてそのまま教室を出ていってしまった。 

 残された俺は自然とクラスメイトの注目の的。


「大和、追い掛けろよ…」

「無理だよ、どーせ向かった先は女子トイレだろうし。
 俺入れないもん」


 昔っから何かあるとトイレに立て籠る癖あるからなー。


「そうゆう問題じゃなくて!」

「蕪木ひどいよ!
 円香の気持ちも考えなよ!」

「そーだよ!」


 わー、大バッシング。

 人生でこれだけバッシング受ける日も今日くらいだろうな。

 円香の気持ちなんて、円香にしかわかんないし。

 そうゆう問題じゃないって、どうゆう問題?


「はあ…俺にどうしろっつーの?」


 円香の友人の浅野と向き合う。

 浅野ってちょっと苦手なんだよなー。

 ハキハキしてるけど、いつも何か焦ってるっつーか。

 同じハキハキでも円香と違う感じ。


「だから追い掛けなよ!
 それからもっと円香の気持ち考えて!」


 円香の気持ち…だから、わかんないって。

 あーイライラしてきたかも。