「…ねーねー。
なんであたし選挙管理委員会なの?」


5月中旬の初夏。
元気な太陽に一番近い3階に
あたしたちのクラス――――――2-3があった。

「…心当たりはないの?ナツ」
呆れてため息も出ていない優に
あたしは首を傾げる。

「んー。あたしただ寝ただけなんだけどな」



「それだよそれ。居眠りで先生がキレたの」


うとうとしながら黒板を見ると、
書き殴ったような
濃い白色のチョークで

『選挙管理委員会』夏野日南 強制!


と書いてある。


だってさ先生。

よく晴れた昼下がり。

お腹いっぱいで

心地良い風

ゆったりした授業

聞かなくても人生に支障なしの話



「これで眠らないほうがおかしい。
これで寝るなだなんて拷問だね。拷問」

「凄いねナツ。その居眠り精神は本校初なんじゃないの」

「あたしは絶対やらないよ、だって」
「ナツー!選挙管理委員会今日放課後居残りねー!」
ふいに飛び込んでくる居残り宣告。





聞いてねぇ!


放課後の生徒会室への足取りは、
すごく重かった。

そういう時に限って帰りの先生の話は短い。

「ゆーうー…聞いてないよぉ~~~……」

「ドンマイ。あたしは先帰る」

まだ青く澄んでいる雲一つない空。
太陽はまだ元気で、
地面を焦がしている。


「…で、生徒会室ってどこだ…」


まだ1年しかこの学校にいないのに
用のなかった生徒会室の場所なんて

覚えてるわけないじゃん!



「…先生いない……」