「ただいまー」
「!?」
でもそのとき、
一階の玄関の方からふいに、誰かが帰ってきたような物音がして
わたしと翔は思わずハッと目を見合わせる。
「あら?玄関に…知らないクツ?
誰か遊びにでも来てるのかしら」
(ギクーッ!)
ここへ来たとき
あらかじめ玄関に揃えて置いたわたしのヒモ靴に目が行ったのか
一階では誰か女の人がポカンとつぶやく様子に、
しばらくの間ベッドで固まっていた翔がとたんに「ゲッ」と声をもらす。
(やべっ、おふくろのやつ帰ってきやがった;)
「(えぇっ、翔のお母さん?!)ど、どうしよ。わたし何の挨拶もしてな…」
(とりあえず服着ろ;俺らこの格好じゃぜってー怪しまれる)
言われた通り、あわてて衣服を頭からかぶるわたしの横で
翔の方もカチャカチャとベルトのヒモを締め直しながら、
そうこうしている間にも
翔のお母さんらしき人物の足音はトントンと階段を駆けのぼってくる。
「翔!帰ってんのー?」
(わぁぁ;)
あまりの緊張ですっかりパニックになる中
突然ガチャリと大きな音がしたかと思うと
そのままバン!と勢いよくドアが開いた。



