(……ん?)


しばらくの間そのことを一人不思議に思っていると、

いつのまにかこの部屋にいた翔と、終始無言同士だったことに気がつく。



「……」



しーん


ハッ

ど、どうしよマズい;

すっかり気がそっちに行って…


「(な、なにか話題…) あっ、ね、ねぇ翔!もしかしてここにあるの、去年全国大会で優勝したトロフィーだよね!?」


何とかこの沈黙を避けようと

すぐ目の前にあったトロフィーを指さして、とっさに後ろを振り向こうとしたわたしに、

今まで何も口にしなかった翔が突然――ギュッと背後から抱きしめてきた。