!!


「え!?…あ、いいっ!いらないいらない!
ちょっと買おうかなって一瞬思っただけだし!別にいい!いらない!」


――その瞬間
まさかあの翔の口からそんな言葉が飛び出てくるとは思わず
わたしはとっさに首をブンブンと横にふる。


そしてすぐさま急いでカップを元の棚へと戻してしまったわたしに

翔は一瞬ムスッとふてくされたかと思うと、すぐさまフイと顔をそらした。


「んだよ。買ってやるっつってんのに。こういう時くらい素直に甘えとけよな」

「あ…;」

「…せっかくおまえの喜ぶ顔、見れっかと思ったのに」


え…――?


ポツリとつぶやいた翔の言葉に思わず胸がドキッとする。


あわてて顔を上げると、さっきの名残で表情はまだムッとしつつ、でもかすかに頬を赤く染めた翔がいたんだ。