修学旅行★幼なじみと甘いキス

「…は、春野?」

「うんっそう春野先生!
前わたしが貧血んなったとき、翔ってば保健室までわたしを負ぶってくれた事があったでしょ?
アレさ…わたしがベッドで寝だしてからも、ホントはずっと隣にいて、看ててくれてたんだね!」

「―――」



“…あぁ、あれね。
広瀬くんの方自身が、あなたにそのことを知られたくないようだったから、わざとトボけたフリしちゃった。
ごめんね”



――つい今朝、あの春野先生がさり気なくそう呟いていたこともすっかり忘れて

次から次へと、先生から聞かされた内容をポンポンしゃべり出すわたしに、翔が口をヒクつかせる。


しまいにはとうとう殺意まで沸いてきたのか
横でズーンと話を聞き終えたあと、なにやら大きく舌打ちした。


「……チッ、(クッソあの女;しゃべりやがって、次会ったらタダじゃおかねー)」

「――わたしね、
ほんとはずっと今まで翔のこと、すごく意地悪でイヤな人だって思ってた」

「!」

「でもそんなの、わたしの勝手な思い込みだったよね。
翔だって何度もわたしに歩み寄ろうと努力してくれてたのに、少しも気付こうとしなかったよね。分かろうとしてあげれなくて、ごめんなさい」

「……」

「すごく、嬉しかった」



“でもねそのあいだ
隣であの広瀬くん、
そんなあなたのこと、ひたすらずっと抱きしめていたのよ。
それはもう、“片時も離したくない”って言うくらいにね”


――昔から超が付くくらいのぶっきらぼうで
しかも全然素直じゃない翔が

まさかそんな夢みたいことを影でホントにしてくれたなんて


そのときの様子を目に想い浮かべたら――わたしはあったかい気持ちでいっぱいになる。


そしてふと胸に小さな愛しさが込み上げてきたのと同時に、

わたしはスッと…まっすぐに翔を見つめると、穏やかな笑顔でこう言った。


「ありがとう…――」