「!? 翔…」

「アイツにはもう全部、話したから」

「……っ」

「今は…ほっといてやって」


……―――


今も腕をつかんだまま
いつになく真剣な顔つきの翔に、わたしは何も言えなくなる。


――結局そのまま二人ここで立ち往生をしていたあと

やがてあの三浦さんの姿は見えなくなり


しばらくして、翔の手がスッ…と放れたと同時に

わたしも小さく頷き返した。


「……。うん…―――」





――その後、お互いの部屋までへと戻る廊下を
翔とふたり、無言でトボトボと歩く。

そのまま一人うつむきながら、わたしはふと口を開いた。



「…三浦さん、大丈夫だったのかな」

「……」

「傷つけたよね……?」



“それじゃあ、あたしはもう行くね”



さっきは少しも責めることなく
ただあの場をあっさりと駆け出して行った三浦さんのことが、どうしても気になってしまう。


そのまま一人浮かない様子のわたしに
前をスタスタと歩く翔は、一瞬ムッと微妙そうな反応をしたかと思うと、すぐに首を横へひねった。