「…中3んときなら、俺だって同じだった」

「!…え?」

「本音はすげー気になって、自分でもバカじゃねぇのって思うくらい、いつも目は加奈子を追ってんのに。
そのくせ肝心なことは何ひとつ言えなくて、いつもくだらねー意地の張り合いで。
…だから俺の気持ちなんか、今さら加奈子に分かってもらえるはずもねーのは正直、自分が一番分かってる」

「……」

「でも、そんなんでお前があっさり持ってかれんなら
俺だって、本当はあいつよりも前から加奈子を見てた。ずっと、好きだった…!」

「…――!」

「ガキんときから、ずっと!!」



翔の突然の告白に
わたしだけじゃなく、一緒にいた直哉くんまでもが唖然としていて…


こうしている今も、向こうではハァハァと息をあらげる翔に

この時、ふとわたしの頭の中を一ヶ月前…、
翔とケンカした、あのときの会話がよみがえってくる。



“…なにムキんなってんの?バ加奈子のくせに
まさかあの直哉って言うヤツのこと
マジで好きになったとか言いたいわけ?”


“うんそうだよ好き…!好きだもん…!
直哉くん優しいし…それにこんなわたしのこと、中3の時から気になってたとまで言ってくれてさ……
翔とは大違い!”


“……っ!”


“だから保健室でキスされそうになった時も全然イヤじゃなかったし、直哉くんになら全部あげてもいい。
そう思ったから抵抗だってしなかったんだもん…。
それの何が悪いの?何が気に入らないの?
翔なんか…、ただわたしと幼なじみって言うだけで何も分かってない…全然わかってないよ。
翔なんか一生好きになんない!”


“うるせぇ!”




“…何だよ、分かってないって。
そう言うおまえだって俺のこと何も分かってねーくせに、初めから知ったような口すんな”

“…っ?”

“こんな近くにいんのに、なんで少しも気づかねーんだよ…”


あ……