「あれぇ?加奈子?パン買わなかったの?」

「うん…、なんかお腹すかなくなっちゃって。今日は飲み物だけでいーや…」


元々、翔とは中学の時からほとんど絶交に近いような関係だったし、いまさら気にすることもないのかもしれない。

だけどそれに拍車をかけたかのように今では隣の席にいても、廊下ですれ違っても
お互い不自然なくらい一言も話さない。

目も合わさない。



“大キライなんだよ”



「……」


この日を境に
わたしは前にも増して翔のことを極端に避けるようになり、

そして翔もあれからわたしに関わることはなくなり…



“翔のバカ!大っきらい!”

“俺だって加奈子なんか好きじゃねーし”



幼いころから今日まで
積もりに積もって出来てしまったお互いの深い大きなみぞは
今さらどうすることも出来ないまま…


「……」


一ヶ月が過ぎ、とうとう修学旅行の日をむかえてしまった。