これって“恋”なのかな。


もしかしてわたし

このまま直哉くんのこと、好きになるのかな…?


でも本当は心のどこかで、誰かと重ねて見ているような―――



キーンコーン

カーンコーン



「あ、チャイム」

「そーいえば次、移動だったよね。加奈子も急ごっ!」

「うっ、うん」


そこまで思いかけたとき

ちょうど鐘の鳴る音がして、詩織ちゃんがふっと顔をあげる。


その言葉に

さっきまでニヤけていたあさみちゃんもハッと立ち上がったかと思うと声をかけてくれて、

わたしも押されるように椅子から立ち上がる。


そのまま次の授業の荷物を取りに行こうと

急いで自分の席へ戻ろうとしたその時だった。


「加奈子ちゃん」


後ろからとっさにわたしを呼び止める直哉くんの声がしたんだ。