リビングのソファーに腰を降ろし、ネクタイを緩める蓮さん。
もう何度もその光景を目にしているのに、その何気ない一連の動作ですら
絵になってしまう蓮さんに目を奪われ離したくても離せない。
『また望がいなくなってしまうのかもって思ったら、望から書類を受けとった後、気が気じゃなかった。』
床を見つめたまま、まるで独り言を言うかのようで。
『・・えっ？』
『電話で俺の会社の名前聞いた時から望変だったし、会社に来た時の望を見て、また俺から離れていってしまうかと思って・・・不安だった。』
そう言って顔を上げると私の方を向き、視線が絡み合うと、くいっと腕を引っ張られると気付いた時には蓮さんの胸の中にいた。
本当にちょっとした変化だったと思う。
電話の時の事を言われれば、確かに驚きはしたけど、自分ですらも気付かない位。
だけど、
蓮さんも同じように、
不安になってくれて・・・いたの？
