惚れたもん負け 【 短編 】




“怖い!気持ち悪い!”


こんな人と関わったら絶対にやばい!と瞬時に判断して。


『すっ・・すみません。今急いでいるので・・』


怒らせないように、やんわり断ったのに



『堅いこと言わずにいいじゃん!ちょっとだけだからさ〜!』


ニヤニヤしながらそう言うと私の手首を掴みどこかに連れて行こうとする。



『やっ。やめてください!』



当然、男の力に勝てるはずもなく、掴まれた手首がジンジンと痛み、体全体にゾワゾワっと鳥肌が立つ。


どうにも出来ない状態に怖くて怖くて瞳に涙がたまる。


『うるうるの目も、かっわいい〜!』

ニヤついて私の手首を掴む男のもう片方の手が私の顔に触れようとした時――――