惚れたもん負け 【 短編 】




いつもだったら結衣ちゃんとお喋りしながら帰るから長く感じたことのない学校から駅までの道のりが一人で帰る今日はとてつもなく長く長く感じる。




・・私も彼氏がいたら、手を繋いで仲良くお喋りしながら帰りたい。

プリクラなんか撮っちゃったりして・・・


・・ぶはっ!凄く良いッ!素敵!

未だ好きな人すらいない状態なのに、顔が浮かばない未来の彼氏と仲良くしている光景を想像してにやける私は端からみたら変なやつにみえるだろう。



『ねぇ〜??M高の子だよね〜?俺らとこれから遊ぼうよ〜?』


妄想に更けっているところに見知らぬ人からいきなり声をかけられた。



『えっ?』



“・・・これってもしかして・・・ナンパ??”


生まれて初めてのナンパに驚きを隠せないまま声をかけてきた人を見ると、ガムをくちゃくちゃ噛みながらニヤニヤしている男と、髪が痛みまくった金髪の男が私を見ていた。