惚れたもん負け 【 短編 】




はっ。と慌てて声がした方に振り向くと目が合った刹那吸い込まれそうな男の子の瞳に思わずドキッとした。




あっ!この人・・知ってる。

武元翔太君だ。凄くカッコイイって有名なのに誰とも付き合わない人だ。



何でこんなにカッコイイのに誰とも付き合わないんだろう・・・?



『・・そこ。俺の席なんだけど。』
そう言って私が座っている席を指差す



『え?あっ!ごめんなさい!』


慌てて謝り、我に返った。

そうだった。今日は三年生初日のしかもクラス替えの日。



二年生の時に座ってた席に当たり前のように座ってしまい挙げ句、恋について悩んでいた―――


急いで確認すると席は今座ってた席の左横だった。



ああ。恥ずかしい・・・

ちゃんと席を確認しないで座った事も、妄想に更けってしまった事も―――