『郁。高3、』

「高校生がこんな夜中にうろついてちゃ駄目でしょ。おまけに、その制服私の母校のだし。」


『ふーん、カナちゃんも同じ高校いたんだ。』


「でも郁の事、見たことない気がする。郁は私の事見たことある?」


『さぁ、わかんね。』



全クラスが10組まであった
高校時代。
ただでさえ多い上に
後輩ときたら
知ってなくても不思議はないだろう。









しばらくして
私が暮らすマンションについた。




「ここ、だよ。」

『ふーん、いいとこじゃん。何階?』

「3階。」

そう言いながら
郁は私の手を引き
どんどんとエレベーターへと
進む。


その手がすごく冷たくて

やっぱり連れてきて
よかったと
私は彼の後ろに付いて歩いた。