こげ茶色のもこもこしたジャケットに、いつもの破れたデニム。



黒いニット帽。



「嘘だよ。似合ってるけど、軽い女に見える」




拓登は、そう言って私のセットした髪にギターケースをぶつけた。



「何かあったか?」



私の前にしゃがみ込んだ拓登が、顔を近づけてくる。




どうしてだろう。


我慢していたわけじゃない。




滝のような涙が一気に溢れ出てきた。





「おい、おい!どうしたんだよ。俺、何か言ったか?似合わないって言ったからか?嘘だって」





必死になる拓登に申し訳なくて、早く理由を言いたいけど、声にならない。






「あのね・・・・・・あの、うぐぐ、ぐぐ」





「あ~、わかったから。わかったから、とにかく泣け」