「なんで?ドーナツ、俺と食いたかったの?」
「世話になってるからお礼だよ!!ば~か!」
照れ隠しで、ばかなんて言ってしまったけど、拓登は嬉しそうに笑ってくれた。
「拓登は優しいね」
「俺が?俺、いじわるだよ」
わざとらしく目つきをいつもと変える拓登。
キラキラした目はちっとも怖くない。
「いじわるな人は自分でいじわるなんて言わないよ」
「お前、俺の何を知ってんだよ。実は悪い男かも知れないだろ」
「悪い男なわけないよ。悪い男なら私を好きにもて遊べたはず。あの夜だって、拓登は……家に帰れって言ってくれた。普通ならあのままどっか連れていって簡単にエッチできたじゃん」
あの日、本当は拓登に言われた通り、誰かにさらって欲しい気分だった。
どうにでもなれ、どこへでも行っちゃえって思った。

