「あんな話って何?」
「ここがお前の居場所だぞって、俺言ったよな?」
拓登は、マンホールを指差して、ちょっと怒った顔をした。
「うん。言ったね」
「だろ?普通、次の日は絶対来るだろ?」
いじわるぶっても無駄。
拓登は飛びっきり優しいんだ。
「私、普通じゃないから」
「お前、ほんっとかわいくねぇよ!!」
私の前に座り込んだ拓登は、呆れたようにため息をついた。
どんよりした空を見上げた私。
拓登は私のおでこに手を乗せて、グイっとその顔を自分の方へ向けさせる。
「次の日、3時までここにいたんだから。俺……」
どうして、会ったばかりの他人がここまで私を心配してくれるんだろう。
一緒に暮らしている“家族”と呼ばれる人は、私をちっとも心配してくれないし、大事にもしてくれないのに。
「待ってたの?私のこと」
「そうじゃなくて!!何かあったのかなって思うだろーがよ!!」
私の前髪をぎゅっと掴んで、左右に顔を振る。