「ちょっと遠いね」


私は、拓登のいつもの場所を見つめた。


本当はもっと近くがいいなって思った。



「ほど良い距離だろ?」


拓登は、マンホールの上をパーカーの袖で綺麗に拭いてくれた。




「わかったか?お前にはもうちゃんと居場所があるんだから。だから、ひとりぼっちみたいな顔すんな。わかったか?」





まだ2回しか会ったことないのに。



生まれて来てから、1番嬉しい言葉をもらった。






「ここ……が私の、居場所?」




「うん。ちょっと汚いけどな」




「犬のおしっこかかってそうだけどね」




「酔っ払いがゲロってるかもしんねーけど」