「また泣いてんのか?」 私の頭に、持っていた缶コーヒーを乗せて。 「あれからずっと泣いてんのか?」 缶を私の頬に当てる。 あったかい。 泣ける。 泣けるよ。 どうしてだろう。 冷え切った心が一気に温かくなる。 名前も知らない少年が、私の心を温めてくれる。 「あんたが遅いから……だから」 少年はしゃがみ込んだ。 私の顔の位置と同じ高さに自分の顔を持ってくる。 「遅くなってごめん。待たせたな」 ポンポンって私の頭の上に手を乗せて、くしゃくしゃの笑顔を見せた。