涙が頬を伝い、スカートに染み込む。
この涙が報われる日が来るのだろうか。
私は、何度泣けば救われるのだろうか。
死んでしまったお母さんを憎むことなんかできない。
お母さんがお父さんと付き合っていたからこそ、私は施設に入れられずに生活できたんだから。
施設で育ったとしても、私は同じ想いに苦しめられていただろう。
―どうして私は施設で……と。
今の状況の方がましなんだと自分に言い聞かせ、何とか毎日生きている。
誰からも必要とされず、誰からも愛されず。
「おい?」
頭の上に温かいものが。
顔を上げる。
「そんなに俺に会いたかったの?」
そこにいたのは、あの夜のいじわるな少年。
ピンクのパーカーにGパン。
茶色のニット帽をかぶった少年が、優しく微笑んでくれた。

