―居場所―



夜の街には、寂しい人間がたくさんいた。


人間だけじゃない。


寂しい野良猫、野良犬。



私は止まりそうな速度で、綾と肩をぶつけながら歩く。





ひとりで地面に座って泣いていても、誰も不思議がらない場所。



寂しい街。




キラキラ光るネオンが好き。



涙目でそれを見ると、万華鏡のように輝くから。




ここがどこなのかわからないくらいに現実感が無くなる瞬間。





「おっさんから連絡だ」



おっさんというのは、綾のバイト先の金だけのおじさんのこと。




「行っていいよ」



「ごめん!!鈴音!!例の計画、絶対実行しようね」




手を振りながらも、視線は携帯電話の画面。



綾は、なんだかんだ言って、そのおじさんのことが好きなのかもしれない。




本音はわからない。


聞かない。